働き方をデザインする

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スクール・サポート・スタッフ(SSS)の立場から教職員の職場環境を変えたい人のブログ

SSSが直面している雇用の問題

Twitterでも発言したのですが、今この3月、多くのスクール・サポート・スタッフ(SSS)が直面している問題があります。それは、

  1. 来年もSSSを続けたいのに続けられない
  2. そもそも来年もSSSを続けられるのかどうか、わからない(募集があるのかどうか決まっていない)

というものです。

 

ツイート画像

 

なぜ、そのようなことが起こっているのか。

  • SSSの区分「会計年度任用職員」
  • 通常の予算とコロナ予算
  • 雇用通知

という3つの視点からSSSの現実をお伝えします

 

 SSSは「会計年度任用職員」

ほとんどの場合、SSSは県や市などに雇われている契約社員です。(直接雇用されているが、雇用契約期間が決まっている。)地方公務員の職員は、仕事内容や勤務時間によって次のように分類されます。

 地方公務員の職の区分

作成:アヤコ

 

SSSはこの中の「④ 会計年度任用職員(パートタイム)」です。会計年度(4月~翌3月)以内で任用される職員という意味です。そのため、ほとんどの人がこの3月に労働契約期間が終了します

そして、来年度も継続して働きたいと思う人は多くいるのですが、その希望が叶わないということが多く発生しています。全く事情を知らない人が聞けば「雇用契約期間が最初からそうなっていたのだから、別に問題ないんじゃない?」と思うでしょうが、SSS特有の納得しにくい点があるのです。

 

①「いつも助かる。ありがとう」→「来年度の雇用はありません」→???

SSSは教職員の仕事を助けるという仕事の性質上、「ありがとう」と言ってもらえることが多いです。大げさに(挨拶程度に)言ってもらえる部分もありますが、継続して働きたいと思っている人にとっては特に、自分自身が周囲の人や組織の役に立っている感じを味わっていると思います。それなのに、来年度の雇用が無いと言われると「普段の評価とその結果が合っていない」印象を持ってしまいます。

 

② 教職員の忙しさは減らないのに雇われない

SSSは「教職員の負担軽減」のために雇われています。来年度の学校は、コロナによる影響が収まり切れていないので、今年度と同じような状況だと思われますGIGAスクール構想が来年度から始まりますが、教職員の負担という点では変わらない、むしろ、新たな仕事(負担)が増えるとも予想できます。そのような中で、今年度は雇用したSSSを来年度は雇用しないというのは、矛盾しているような気がしてしまいます。

 

通常の予算とコロナ予算

教職員の負担軽減のためにSSSを配置しよう、というのは全国で取り組まれているのですが、雇うためのお金は、県や市など(自治体)から出ています。国からの補助もありますが、補助額は3分の1だけなので、費用の3分の2は自治体が負担します。(県費職員、市費職員という言い方をすることもあります)

 

令和2年度が始まる頃にはSSSは全国に4600人程度しか居ませんでした。平均すると5~6校に1人です。しかし、コロナの影響で年度の途中で予算が追加されたので、今年度はSSSの人数が大幅に増えました。

(追加予算とSSSの人数増加についてはこちらの記事に書いています)

 

 そして来年度(令和3年度)の国の予算については、「補正予算の執行額と同等の予算規模を確保する」と文部科学大臣は発言していた*1 ので、SSSが減る(再度の任用をしない)ことは、ほとんど無いと私は思っていました。

 

雇用通知が遅い

予算は、国 → 都道府県 → 市町村 → … の順に決めていくのだと思われます。SSSを雇うための自治体の負担は少なくないので、「国の補助があればSSSを雇うけど補助がなければ雇わない」という自治体もあると思われます。来年度の国の予算が決定したのが令和2年12月21日です。そこから都道府県や市町村が動いたと考えると多少遅いのは仕方がないと思いますが、雇用される側としては「あまりにも遅すぎないか?!」と言いたくなります。

 

 私の場合、3月3日に「来年度の市の予算が確定すれば、来年度も勤務をお願いしたい」と教育委員会の人から内示がありました。そして正式な通知は来週中(22日~26日)、教職員の先生方と同じタイミングで校長先生から伝えられるそうです。来年度雇用されるかどうかが正式に分かるのが3月中というのは遅いなと思います。

 

自治体によっては、19日の時点でも「募集するかどうかは分からない(決まっていない)」そうです。

 

困っている男女のイラスト

引用:イラストAC

さいごに

SSSが抱えている

  1. 来年もSSSを続けたいのに続けられない
  2. そもそも来年もSSSを続けられるのかどうか、わからない(募集があるのかどうか決まっていない)

という問題についてお伝えしました。

この問題を考えるための3つの視点(会計年度任用職員、通常の予算とコロナ予算、雇用通知)の、もっと深掘りした内容や私の考えについては、また別のときにお伝えしたいと思います。

 

ちなみに、先日、教頭先生とお話ししたときに「アヤコさんには来年も居てほしい」と言ってもらえたので「じゃあ、教頭先生のお力でそのようにしてください(笑)」と返したところ、「力はないけど、もちろん、学校の希望は伝えるよ。逆に、申し訳ないけどもうお断りしたいというときは、その旨を伝えるよ」と仰っていました。そのため、SSSの働きぶり(評価)が悪いと、いくらSSS本人が望んでいても来年度の雇用が無いことは、あり得るのだと思います。

「高評価 → 来年度も雇用される」とは限らないですが、「低評価 → 来年度は雇用されない」のはあり得る、ということは、私を含むSSSの人は知っておかないといけないとは思っています。その上で、それでもおかしいと思うことについては、これからも言及していきたいと考えています。

 

*1 萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年12月21日)

https://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/mext_00123.html

 

お知らせ

今回の記事の内容も含め、SSSの現状はあまり知られておらず、声を上げたくても機会がない!(泣)

そんな状況を改善するためにアンケートを行っています。SSSの方は私と一緒に声を上げましょう!3月末までの限定で行いますので、まだの方はお早めにお願いします。

SSSの心境アンケート(2021年3月)

SSSの実態アンケート(2021年3月)

 

また、このブログの来訪者アンケートも行っています。SSS以外の人がどれぐらい訪れてくださっているのか気になっていますので、ポチッと押してください。

※アンケートは全て終了しました

 

2021/4/9 文章を修正しました。

・会計年度任用職員の説明部分。「SSSはアルバイト」を「SSSは契約社員」に変更。雇用期間が決まっていないのがアルバイト、決まっているのが契約社員なので。

・「さいごに」の1段落目を変更。読みにくい文章だったので。

2022/3/10 アンケート終了の一文を追記しました

2022/4/3 文章の体裁を整えました。(数字を半角に揃える、取り消し線の追加)