<はじめに>
先日、web上でアンケートを行いました。アンケート2種類で全21項目と、かなりボリュームがあるので、記事4回に分けてお伝えします。面白い結果が出たので、アンケートを回答した人だけでなく、スクール・サポート・スタッフ(SSS)を配置している自治体の人や、一緒に働く教員や職員など、多くの人に見てもらえると嬉しいです。
アンケートは『SSSの心境アンケート(2021年3月)』(以下、心境調査)と『SSSの実態アンケート(2021年3月)』(以下、実態調査)の2種類。回答期間は2021年3月8日~31日。心境調査の回答者数は、現役のSSSが104名、引退したSSSが6名の合計110名でした。
このアンケートの一連の記事をピックアップして見るときは、『アンケート(2021年3月)』というカテゴリー名をクリックしてください。
- 業務について、力を持て余している人は7割
- 教職員とのコミュニケーションに満足している人は7割
- 児童生徒と関わりたくないと思っている人はほとんど居ない
- 自己評価が高めの人は75%
- まとめ
- 【主張】SSSの力を有効活用できていますか?
業務について、力を持て余している人は7割
ほとんどのSSSが「仕事まだまだ出来ますけど?」状態であることが分かりました。
『業務量が増えてほしい・増えてもよい』と回答したのが合わせて74.5%、『もっと難しい業務をしたい・してもよい』が68.1%でした。職場で「たくさんの先生が仕事の依頼をするから大変じゃない?」「面倒なことを頼んで、すみません」など気遣って言ってもらえることがあります。私の場合、そのようなことで困ることは無いので「むしろ、もっとやります!」という気持ちでした。7割ぐらいの人も同じように考えていたのだと分かり、心強く感じました。
学校の先生方へ、SSSにもっと仕事頼んで大丈夫ですよ!!(※個人差はあります)
教職員とのコミュニケーションに満足している人は7割
教職員とのコミュニケーションについては、『満足している人が7割』『満足していない人が3割』という結果になりました。おおむね満足している人が多いですが、『まあまあ』と満足度合いはあまり高くはありません。
SSSの仕事は、教職員の仕事を手伝うことが多いので、雑談を含めて普段からコミュニケーションを取るのが重要だと考えています。また、「仕事の悩みのほとんどは人間関係」とも言われるので、コミュニケーションに満足できているかどうかは重要です。
しかし、先生方が忙しすぎるのと、SSSの勤務時間が短すぎて、話す時間があまり無いんですよねー。私も日々困りながら働いています。悩んでどうしようもない人は、こちらの記事(とコメント)を参考にしてください。何とか工夫していくしかないですね!
児童生徒と関わりたくないと思っている人はほとんど居ない
「たまには児童生徒とお喋りしたりもできるのかと思っていたら、掃除ばかりで誰とも喋ることなく悲しいです」このような嘆きをネット上で見たことがありました。仕事仲間は教職員ですが、働く場所が学校なので、子どもたちと関わりたいと思う人も居ると思います。実際に働いてみて、その点でのギャップが発生して困っている人もいるのかなと思い、この質問を入れてみました。
ところで、この質問はともかく、回答項目の立て方が悪かったなと反省しています。『もっと関わりたい』は希望なのか不満なのか、見えにくくなってしまいました。そのため、まとめにくいのですが、『児童生徒との関わりが丁度よい・特にこだわらない(どちらでもよい)』と考える人が大半を占めていて(67.3%)、『もっと関わりたいと思う人が』30%いると、まとめます。
自己評価が高めの人は75%
「なんだこの質問は…?」と、回答者のほとんどの人が思ったことでしょう。SSSの仕事は、評価するのが難しいと思っています。何かを達成したら評価されるというものでもない。そう考えると、自己評価が重要なのではないかと思いました。しかし、自己評価をするにしても、本来の目的である『教師の負担軽減』を考えないただの自己満足の評価では駄目ではないか、という思いもあり、このような堅苦しい質問になりました。回答する方も難しかったと思いますので、本当にご協力ありがとうございます。回答の割合は、4人中3人が自己評価は高く、4人中1人が低いという結果になりました。
まとめ
- 業務について、力を持て余している人は7割
- 教職員とのコミュニケーションに満足している人は7割
- 児童生徒と関わりたくないと思っている人はほとんど居ない
- 自己評価を高く設定した人は75%
【主張】SSSの力を有効活用できていますか?
7割の人が『もっと業務量が増えてほしい・増えてもいい』と考えているという結果は、勿体ない!せっかく、教職員の負担軽減のためにSSSを配置していて、先生方の仕事は山ほどあるはずなのに。上手く業務分担しきれていないのだと思います。私は、SSSとして働いているからこそ言いたいのですが、『雇用している県や市の職員』や『学校の管理職の先生』には、SSSが十分に働ける環境を整備してほしいです。県や市が雇用している場合、その費用は税金から出ています。お金を掛けて雇い入れた人に十分に働いてもらえるような環境を整備してほしいと思うのは、一市民としても当然の意見です。例えば、業務分担の提案などは、なかなかSSS側から言えないので、校長先生などの学校の先生に考えてほしいなと思います。
また、SSSの中には、児童生徒との関わりを求めている人が多いことから、『SSS×学習指導員』や『SSS×ICT支援員』のようなマルチ業務化についても、検討してみてはいかがでしょうか。*1
*1 私が参考にしているのは、アメリカにおける『パラプロフェッショナル』の仕組みです。雇い入れたときよりも業務が多岐に渡っていったので、役割自体が変化していった経緯があります。(詳しくはこちら)
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