働き方をデザインする

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スクール・サポート・スタッフ(SSS)の立場から教職員の職場環境を変えたい人のブログ

コロナがきっかけで増えたSSSの業務はコロナとは関係が無い!?

<はじめに>

先日、web上でアンケートを行いました。アンケート2種類で全21項目と、かなりボリュームがあるので、記事4回に分けてお伝えします。今回はその4回目です。

面白い結果が出たので、アンケートを回答した人だけでなく、スクール・サポート・スタッフ(SSS)を配置している自治体の人や、一緒に働く教員や職員など、多くの人に見てもらえると嬉しいです

 

アンケートは『SSSの心境アンケート(2021年3月)』『SSSの実態アンケート(2021年3月)』の2種類。回答期間は2021年3月8日~31日。実態アンケートの回答者数は、現役のSSSが101名、引退したSSSが4名の合計105名でした。

このアンケートの一連の記事を見るときは、『アンケート(2021年3月)』というカテゴリー名をクリックしてください。

コロナ対応業務の割合

アンケート回答 SSS コロナ対応業務の割合


前回出てきた質問により、勤務年数が1年未満の人が84%、つまり、昨年度(令和2年度)のコロナ予算(※)によって雇用された人が多いと予想を立てました。しかし、コロナ対応業務がメインの業務になっている人はたった26%です。

『SSSを雇い入れる予算はコロナ予算だが、SSSが行っている業務はコロナに関わらない業務』というのが令和2年度の実態だったようです。コロナ予算が無くなったことで、SSSの雇用を辞めた自治体が少なくないと聞きますが、それは、実態(現場の要望)には合っていなさそうです。

(※)令和2年度は、新型コロナウイルスの影響により、予算が年度途中で追加されました。その追加予算をコロナ予算と呼んでいます(一般的な名称かどうかは分かりません)。SSSのための予算も、そのとき大幅に増えました。

 

清掃業務の割合

「ずっと掃除ばかりして辛いです」という声を聞くことがあり、そのような人がどれぐらい居るのか調べたく、この質問を入れました。アンケート回答 SSS 清掃業務の割合

『コロナ対応業務』の業務量と『清掃業務』の業務量の多さについては、多い人は両方多く、少ない人は両方少ないという傾向が見られました(105人中、82人)

私の意見としては、学校に清掃員を雇う(清掃を外注する)ことには賛成ですが、SSSとして雇い、清掃員の仕事をさせることには反対です。もちろん、私も掃除はしますが、あくまで業務の一部としてです。いくらSSSの業務内容が多様だとはいえ、『清掃員』としての仕事がメインになってはいけないと思います。

 

子どもの情報をどれくらい知っているか

アンケート回答 SSSが知る子どもの情報レベル

子どもについて知っている情報は、『クラスや氏名程度』『それ以上』『それ以下』がおおよそ3分の1ずつでした。

 

子どもとどのような関わりがあるか

アンケート回答 SSSの子どもとの関わり

 

複数回答可能な質問だったので、回答数(チェックを入れた個数)にも注目しました。 

アンケート分析 子どもとの関わりの量

3個以上にチェックを入れた人は全体の31.4%しかおらず、その人たちは比較的、子どもとの関わりが多いと言えるでしょう。

先の質問の情報レベルとの関連性については、『子どもとの関わりが多い人ほど、知っている情報レベルも高い』という傾向が見られました。チェックが『4個以上』の20人のうち16人は、情報レベルが『5』または『4』と回答しています。

ところで、心境アンケートの方で、約3割の人が『児童生徒ともっと関わりたい』と回答していました(こちらです)。しかし、この項目の『雑談をする』にチェックを入れた人は34人(31.4%)しか居ませんでした。子どもとの交流を好む人は、休み時間などに積極的に職員室の外に出て、交流をしに行っても良いのではないでしょうか。

 

継続を希望するかどうか・その結果

アンケート回答 SSS 雇用継続の希望と結果

  • 「来年も続けたい」は89人(84%)…①②
  • 「来年は続けたくない」は16人(16%)…③④
  • 続けたい・続けたくないの希望が通った人は67人(64%)…①③
  • 続けたい・続けたくないの希望が通らなかった人は38人(36%)…②④

 

②の割合がとても多く、3人に1人は「来年度も続けたかったが雇用されなかった」ことになります。雇用された人でも、雇用継続の通知が新年度間近まで来なかった人も居ます。雇用の不満についてはこちらの記事で触れています。

このアンケートの結果では、『来年度は続けるつもりはない』と回答した人全員が『勤務年数1年未満』でした。また、残念なことに、『元教員』の10人中5人は『来年度は続けるつもりはない』と回答していました。学校をよく知る人物として貴重な人材だと思うのですが、その経験はSSSの立場では活かされなかったのかなと想像します。

 

まとめ

  • 75%のSSSにとって、コロナ対応業務はメインの業務ではない
  • 清掃業務もメインの業務ではない
  • ただし、コロナ対応業務が多い人は清掃業務も多い
  • 児童生徒について知る情報は、『クラスや氏名程度』『それ以上』『それ以下』が3分の1ずつ
  • 児童生徒との関わりは、挨拶(+α)程度の人が7割
  • 雇用については、6割が希望通りになったが、4割は希望が通らなかった

 

アンケートを終えて

アンケートの回答から結果報告までお付き合いいただきありがとうございました。期間が長くなってしまったことが今回最大の反省点です。。しかし、これも踏まえて、またアンケートを行っていきたいと考えていますので、今後もお付き合いいただければと思います。

回答フォームを公開していた期間は約3週間という短い期間だったのにも関わらず、110名の方に回答いただけたことは本当に感謝しかありません。110人という規模についてですが、あるとき、教育界で超有名な先生がYouTubeで動画配信をされていたのを見ました。動画配信前に教員の方々に向けた事前アンケートを行われていて、その結果を動画内で発表されていたのですが、その回答者数を見ると300人程でした。それを見たとき、条件が違うとはいえ私のアンケートの110人というのは、かなり大きな規模なのではないかと熱い気持ちになりました。

今後も価値ある情報を提供できるように日々頑張ります。応援よろしくお願いします!

 

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