最近、Twitterを見ているとSSS(スクール・サポート・スタッフ、教員業務支援員)であることを名乗って業務内容などを発信する人が増えてきたなと思います。
私がSSSを始めた2年前は、インターネット上にSSSに関する情報がほとんど無く、分からないことが多かったので、発信者が多いのは良いことだと思っています。
しかし、立場的に言ってはいけないことや、してはいけないことがあります。
「何でもやってみよう!」と積極的になっている年度初めの今だからこそ、「してはいけないこと」について、みなさんと共有したいと思います。
SSSは地方公務員
まず、SSSは『会計年度任用職員』なので地方公務員法が適用されます。*1 『会計年度任用職員』とは、大まかに言うと『非常勤の地方公務員』です。*2 そのため、『地方公務員法』に従う必要があります。
地方公務員法の『服務』
地方公務員法には、地方公務員が従う必要があるルールなどが書かれています。主に、次の『服務』の部分(第30条~第38条)です。*3
地方公務員法30条(服務の根本基準)
すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。
この中でも、SSSに特に関係がある3つに注目します。
信用失墜行為の禁止(第33条)
簡単に言うと、「公務員の信用を失くす行動はしてはいけない」
具体的には
などが挙げられます。つまり、勤務時間外のプライベートな時間の行動も含まれます。
秘密を守る義務(第34条)
簡単に言うと、「職場で知った秘密を漏らしてはいけない。辞めた後もずっと。」
Twitterなどでは、日々のちょっとした出来事を簡単に投稿できますが、子どもの『氏名』だけでなく、『個人が特定されるような情報(個人情報)』も言ってはいけません。
政治的行為の制限(第36条)
簡単に言うと、「特定の政党を応援したり批判したり、勧誘をしてはいけない」
ただし、『政治的な』ことが全て禁止されている訳ではありません。「会計年度任用職員の制度はおかしい。地方公務員法(法律)を変えるべき」など、意見を述べることには全く問題はありません。
どんどん発信しよう!!!
『禁止』『守る義務』『制限』とお伝えしたので、「何も言わない方が良いのでは?」と思われたかもしれませんが、そんなことはありません。むしろ、私が言いたいのは、Twitterなどで「どんどん発信していきましょう!」ということです。
理由1 仕事の質が上がる
同じ仕事をしている人と情報交換することで、悩みを共有したり解決することができることがあります。業務の方法についてもより良い方法を見つけられることもあり、自分自身にとっても良い効果があると思います。
理由2 当事者の発言こそ重要
- 雇用が不安定で働き続けたいのにできない
- 仕事で困っているのに管理職の先生が助けてくれない
など、当事者でないと分からない・気付けないことがあると思います。しかし、何も言わなければその不満や不安は初めから無かったことになってしまいます。そのため、当事者が発言することは重要です。
私たちの任期は1年しかありませんので、気付いたときにすぐ発言するのが大事だと思います。
理由3 #教師のバトン
「#教師のバトン」とは、「TwitterなどのSNSで発信しよう」と文部科学省が公式に呼び掛けているものです。*4
- 学校での働き方改革による職場環境の改善
- ICTの効果的な活用
- 学校現場で進行中の様々な改革事例やエピソード
などを発信しようと書かれています。
SSSが学校に配置されていること自体が『働き方改革』の一つです。SSS同士で業務内容について情報を出し合い、それによってSSSが自分自身の働き方を見直せば、これは、働き方改革を進めていることになります。
ちなみに、『“教師”のバトン』ですが、「児童生徒や保護者、地域の方々の皆さんからの投稿もお待ちしております。」と公式に書いてあるので、教師でない人も発信して良いようです。
まとめ
- 業務内容やその改善方法(働き方改革系)
- 労働環境など改善してほしいと思うこと(待遇改善系)
など、積極的に発信をしていきましょう!
ただし、
などの制限や禁止事項はもちろんありますので、内容には注意しましょう。
Twitterは匿名で使うことができ、投稿したものを削除できる機能もありますが、
「匿名だったらバレない」
「削除すれば良い」
ということではありませんので、投稿する前に内容を見直すようにしましょう。(※自戒の念を込めて言っています)
参考資料
#教師のバトン とはなんだったのか-教師の発信と学校の未来-【本】
著:内田良、斉藤ひでみ、嶋崎量、福島尚子
もの言えば唇寒し…危険な職員会議と学校文化!/『#教師のバトン とはなんだったのか』出版記念【動画】
https://www.youtube.com/watch?v=UVyZR9UepAY
*1 SSSであっても会計年度任用職員ではない方もいらっしゃると思います。分からない方は、ご自身の労働条件通知書をご確認ください。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000638276.pdf
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000261
*4 「#教師のバトン」プロジェクトについて
https://www.mext.go.jp/mext_01301.html
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