働き方をデザインする

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スクール・サポート・スタッフ(SSS)の立場から教職員の職場環境を変えたい人のブログ

専門性が無いことが教員業務支援員の強み!

ドヤ顔している女性の写真 アイキャッチ画像と同じ

 

専門性が無いことの悩み

学校で働く人の8割は教員です。『教員=教員免許を取得している専門職』なので、職場の8割の人が専門職であると言えます。

そのような中、私の仕事(SSS)は専門職ではありません。この仕事に応募するとき資格・経験などの条件が無かったからこそ、すぐにこの仕事に就けたのですが、もし条件があれば給料ももっと高く設定されていたのかなと思うことがあります。そのため、専門性が無いことはマイナスの要素であるような気がしていました。

 

しかし、「専門性が無いことが重要」なのではないかと最近考えています。

 

SSS…教員業務支援員、スクール・サポート・スタッフ

 

専門性が無いからこそ手伝える

SSSの仕事は先生たちの業務を手伝うことです。もし、私が何か専門の仕事を持っていたら、専門の仕事と手伝う仕事が被ってしまったとき、専門の仕事の方を優先せざるを得なくなり、『いつでも手伝う』ことが出来なくなります。学校の中の仕事は後回しにできない仕事も多いので、必要な時すぐに対応できるかどうかは重要です。

また、そうなると、先生たちは私に仕事を頼むのを躊躇うかもしれません。

 

つまり、専門性を持たないからこそ『人の仕事を手伝う仕事』をメインに出来ると言えます。

 

無所属であることも強み

この仕事に就く前は、小学校の担任の先生は1つの学級の授業を全て担当するので複数人で仕事をするのは少ないのかな、と漠然と考えていました。しかし、学年全体で特別活動をするために打合せをしたり、授業の進度を確認したりと、同じ学年の先生同士の打合せはかなり多く、学年ごとにグループのような様子です。また、担任ではない先生たちは『担外』や『7年』と呼ばれていて、そこでもグループが出来ています。

 

そのような中、私はどこにも属さないので疎外感を抱くことがあります。しかし、どこにも属していないことがSSSとしては良いのではないかと思い直しました。

 

もし、どこかに属してしまったら「違うグループだから仕事は頼めない」などということが起こってしまうかもしれません。

また、自身がどのグループにも所属しないことで、無所属の人の視点を持つことができ、他の無所属の人(例えば非常勤の先生や他のスタッフなど)に対して上手く接することができるのではないかと考えました。

 

イメージ画像 ガッツポーズをする女性

 

教員ではない同僚

以前の記事で、SSSである薫子さんにインタビューしたものがあります。その中で、ある生徒が友だちにも先生にも言いにくい話を薫子さんにした、というエピソードがありました。

子どもにとってSSSが『教員でも友だちでもない身近な人』になっているという話でしたが、大人(教員)にとっても同じで、『教員(同じ立場の同じ職種の人)ではない同僚』になっていることが必要とされる場面もあるのではないかなと思っています。

 

(余談)曖昧さが丁度よい

子どもたちから「アヤコ先生って、何の先生?」と聞かれることがよくあります。小学校で働いているので、低学年の子は「保健室の先生?」「特別支援学級の先生?」と聞くこともあります。私は「先生のお手伝いをする人」などと答えるのですが、あまり伝わらないときも多くあります。

最初の頃は、伝わらないことを悔しく感じたり、「たしかに、私は何をする人なんだろうな」としんみり考えてしまうこともありましたが、最近は、その曖昧さが丁度良いのではないかと思うようになりました。

 

おそらく、「担任の先生でも保健室の先生でもないけど、たまにお喋したり給食配膳を手伝ってくれたりする人」と思われていると思いますが、それが最適な気がしています。

イメージイラスト 子どもがhi!、SSSがyeah!



専門性が無いことのデメリット

専門性が無く、どのグループにも属さず、曖昧な存在。

それがSSSの強みだと思いますが、しかし、現実的には専門性が無いことで多くのデメリットもあります。

 

仕事が理解されにくい

例えば、教員であれば『学級担任をする』『授業をする』など仕事内容(役割)がはっきりしていますが、SSSは『手伝う』のがメインなので、具体的に何をする人なのかが曖昧になりがちです。

自分が何をする人なのかというアイデンティティも揺らぎます。

周囲に仕事が理解されないことで、適切な評価が受けにくくなります。

 

主張しづらい

以前、ある事の方向性を先生方が話し合っていたとき、ベテランの先生が「どちらにするか、担当者のA先生(若手)に任せよう」と言っていたのを聞きました。若手でも担当者であることが尊重されていたのです。SSSはそのような『担当者』になるのが難しいと感じました。

 

専門性が無いことを評価してほしい

教育の専門家である教員が8割の職場ですが、SSSを『専門性が無い』人ではなく『専門性をあえて持たない』人であることを認めてほしいと思います。専門性を持たないことによって、幅広いサポートが可能になっています。

 

専門性が無い、と言っていますが、正確に言うと、専門性が資格などの形で証明されていないだけです。SSSは仕事を長く続けることで経験を積み『人をサポートすること』についての専門性を持つようになり、『サポートの専門家』になります。

私は今、同じ学校での3年目の勤務になりました。学校の様子や先生たちの性格、子どもたちの性格などを知っている現在の方が、初年度より有意義なサポートが出来ています。

しかし、『会計年度任用職員』なので雇用期間はずっと1年間です。(1年間の雇用を繰り返しています。)また、中には、SSSのことを見下したような態度を取る教員も居ると聞きます。SSSに対する評価については、まだまだ課題があるのが現状です。

 

参考資料

【1】薫子さんがSSSとして子どもと関わった話はこちらから。

SSSにインタビューしてみた!(薫子さん編)

 

【2】この記事を読み返してみると、やはり、SSSではない人がSSSに期待していることは『曖昧なもの』なのだと改めて思いました。

SSSに期待されているのはKK(アンケート結果報告4)