働き方をデザインする

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スクール・サポート・スタッフ(SSS)の立場から教職員の職場環境を変えたい人のブログ

雇用する側の人に見てもらいたい、SSSの高い意欲

<はじめに>

先日、web上でアンケートを行いました。アンケート2種類で全21項目と、かなりボリュームがあるので、記事4回に分けてお伝えします。今回はその2回目です。面白い結果が出たので、アンケートを回答した人だけでなく、スクール・サポート・スタッフ(SSS)を配置している自治体の人や、一緒に働く教員や職員など、多くの人に見てもらえると嬉しいです

 アンケートは『SSSの心境アンケート(2021年3月)』(以下、心境調査)『SSSの実態アンケート(2021年3月)』(以下、実態調査)の2種類。回答期間は2021年3月8日~31日。心境調査の回答者数は、現役のSSSが104名、引退したSSSが6名の合計110名でした。

このアンケートの一連の記事をピックアップして見るときは、『アンケート(2021年3月)』というカテゴリー名をクリックしてください。

勤務日数や時間の希望

次の2つの質問は、待遇に満足しているかどうかの質問です。SSSの勤務状況を説明すると、多くの場合、勤務日数や時間について、『年間××日以内』や『週○○時間以内』という指定がされています。また、給料はほぼ全て月給制ではなく時給制です。 

アンケート回答 SSSの勤務日数の希望

勤務日数・勤務時間については、『丁度よい』という人が42.7%と一番多い結果になりました。『もっと増えてほしい・増えてもよい』という人を合わせると52.7%なので、勤務日数や時間を増やしてほしい人が多くいるという見方ができます。しかし、『増えてもよい』『減ってもよい』が「多少、増減しても問題ない」という意味だと捉えると、『丁度よい』と合わせた73.6%は、特に不満を持っていないという見方もできます。

私は、質問を作ったときには、『もっと増えてほしい』の回答が一番多く、その次に『増えてもよい』という回答が続くと思っていました。自分自身がそう思っていたからです。しかし、実際には『丁度よい』という回答が一番多くなりました。そこで考え直したのですが、勤務日数や時間は応募の時点で予め分かっていることなので、「想定通りで不満は無い」場合が多いのは当然の結果かもしれません。しかし、そのような中でも、『もっと増えてほしい』と約25%(4人に1人)の人が思っているのは、多忙で人不足な学校にとっては朗報と言えるでしょう。人手を増やすのではなく、今働いている人の労働時間を増やすことで、教員の業務負担軽減に対応できるかもしれません。都道府県や市町村の職員のみなさん、この方法はいかがでしょうか。

 

給料の希望

次は給料についての質問です。給料も応募の時点で分かっていることだから…と予想しましたが、

アンケート回答 SSS 給料の希望

給料は『もっと増えてほしい』が一番多かったです。みんな給料は増えてほしいんですね。実際に働いてみて「意外に手取り少ないなー」と感じたのでしょうか。面白い結果となりました。

 

国の方針をどう思うか

SSSへ質問 国の政策方針について

出ましたよ、また変な質問が。回答してくださった方、すみませんね。(前の変な質問はこれです)

この質問を入れたのは、アンケートを実施した意図にも繋がるのですが、せっかく人に協力してもらってアンケートを行うので、意見を聞いて「へぇ~」「面白かった」で終わらせるのは勿体ないと思っていました。例えば、国の政策方針について意見を述べたりできればと思ったのです。また、現場のSSSがSSSを学校に配置していく制度を応援している状況が見えれば頼もしいなとも思ったので、この項目を入れました。

しかし、政策方針について、いろいろ考える中で、私にも「大賛成」とも言い切れない部分があるとも思いました。簡単に言うと、「人数が増えれば良い」「予算が増えれば良い」という単純な話ではない、それだけでは根本的な解決にはならないと考えるからです。

前置きが長くなってしまいましたが、回答結果はこのようになりました。

アンケート回答 SSS 国の政策方針どう思う

ほぼ全員(90.9%)が、『とても賛成・賛成』となりました。

 

SSSの仕事を続けたいかどうか

アンケート回答 SSS 仕事を続けたいかどうか

77.3%の人が継続して仕事に就きたい、特に、『出来る限り長く』と強く望んでいる人は50.0%でした。ほぼ全てのSSSは『会計年度任用職員』として雇用されています。会計年度内だけ、つまり、1年間(1年以内)しか雇用が約束されていません。もし、なり手不足に困っている自治体があれば、このあたりを検討していただければと思います。

 

まとめ

  • 勤務日数や時間は、『丁度よい』と思う人が最も多いが、『もっと増やしてほしい』と強く思う人も多い
  • 給料は『増えてほしい』と『丁度よい』の割合が6:4
  • 全国にSSSを増やしていく国の方針には、9割が賛成
  • SSSの仕事を『出来る限り長く続けたい』と半数の人が思っている。『しばらくは続けたい』も合わせると約8割が継続を希望

 

【主張】10年後を考えた雇用を

SSSの配置は、全国的に見ると少しずつですが年々増えています。(昨年度、コロナによる追加予算で臨時的に配置されたのは例外として除きます)それは、今後、何年続くでしょうか。予算以外の都合で「もうSSSはいらない」と配置をやめるときが訪れるとすると、それは『教員が余ってしまって困る』という状況になったときだと思います。ICT化が進み、人手が少なくても授業や学校生活の運営が成り立つようになるかもしれません。また、少子化で子どもの数が減り、35人学級どころか15人学級になるかもしれません。

私は、そのような未来まで、あと10年は掛かると思っています。つまり、SSSは今後10年は必要とされると思われます。ICT化や少子化はもっと早く進むかもしれませんが、その分、今まで手をつけられなかったところにも手をつけられるようになり、仕事が増える面もあるでしょう。今の『多忙』な状況が『暇』とも言える程変化するのには、10年は掛かると思います。

そう考えると、『10年後、どのようなSSSが学校に居てほしいか』を念頭において、都道府県や市町村などの自治体はSSSを雇用をするべきだと思います。このアンケートの結果では、「業務量を増やしてほしい」「勤務日数も増やしてほしい」「この仕事を出来る限り長く続けたい」という人が多かったです。このような意識の高い人たちを10年後も留めておけるような仕組みになっているかどうか、雇用側の方々には今一度考えてほしいです。

 

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