文部科学省により『全国の学校における働き方改革事例集(令和3年3月)』というものが公開されています。全220ページにも渡り、内容も充実したすごい資料なのですが、スクール・サポート・スタッフ(SSS)のページについて、どうしても気になることがあったので、作成した方には申し訳ないですが、ツッコミを入れさせていただきたいと思います。
文部科学省の『スクール・サポート・スタッフの1日の働き方イメージ』(以下、イメージ図)
引用:『全国の学校における働き方改革事例集(令和3年3月)』分割版①,p118
【第3位】SSSの業務はコロナ対策ばかりではない
イメージ図を見ると、『様々なコロナ対策業務の合間に通常業務を行うSSS』の様子が目に浮かびますが、「そんなにコロナ対策ばかりしてないよ!?」とツッコミを入れたいです。
先日、私が行ったwebアンケートの結果によると、SSSの約75%の人は、「コロナ対応業務はあまり無い・ほとんど無い」と回答しています。そのため、イメージ図のような働き方をしているSSSはごく一部ではないでしょうか。
『SSSの実態アンケート(2021年3月)』よりアヤコ作成
「いや、そんなアンケートの結果なんて信用ならない!」と思われるかもしれませんが、「SSSの業務はコロナ対策ばかりではない」と言える、もう一つの根拠があります。それは、イメージ図の一番下の注意書きです。
※学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル〜「学校の新しい生活様式」〜(2020.12.3 Ver.5)では、「大勢がよく手を触れる箇所(ドアノブ、手すり、スイッチなど)は1 日に1 回、水拭きしたあと、消毒液を浸した布巾やペーパータオルで拭きます。」「トイレや洗面所は、家庭用洗剤を用いて通常の清掃活動の範囲で清掃し、特別な消毒作業の必要はありません」「器具・用具や清掃道具など共用する物については、使用の都度消毒を行うのではなく、使用前後に手洗いを行うよう指導します。」など過剰な消毒作業は必要ない旨を明示。
要約すると、イメージ図に『特別教室の消毒』や『共用部分の消毒』と書いてありますが、2020年12月時点の新しい基準では、「そこまでしなくていいよ」ということです。つまり、ここに書いてあるほどSSSはコロナ対策をしないということです。
【第2位】そもそも、SSSはコロナ対策要員ではない
新型コロナ感染症対策のために消毒作業や健康観察など、純増した学校業務について、スクール・サポート・スタッフや地域の方々の協力を得て、教員の負担軽減が全国各地で進められています
イメージ図の一番上のこの文章を読むと、「コロナのせいで教員が忙しくなってしまった。そのため、SSSを雇い始めた」ように思えますが、「いやいや、ちょっと待って!」
教員の多忙さについてはコロナ以前(もう10年以上前)から言われていて問題になっていました。また、SSSの雇用についてもコロナ以前からのもので、3年以上前から国の予算が確保され全国的に進められていました。
言葉のニュアンスの違いかもしれませんが、そのあたりを曖昧にしてしまい、コロナが落ち着いたときに、「コロナ対応業務が無くなったので教員の負担は軽減した」となってはいけないと思います。「コロナがあっても無くても、教員は多忙でSSSは必要とされていた」「教員の多忙化についてはコロナに関係なく対策が必要だ」とハッキリ主張していきます。
【番外編】『通常』が端に追いやられている?
イメージ図の中での『通常対応』という言葉、灰色で存在感薄い状態になっているのはなぜでしょうか。通常とは何だったのか…。
また、通常対応の中に『印刷』という言葉が入っていないことから、「紙から脱却し、GIGAスクール構想・ICT化を進めたい」という意思を感じました。それは良いのですが、現状に合っているかというと、少々疑問が残ります。
【第1位】は…!
第1位は、なんと、次回の記事に続きます!引っ張るつもりはなかったのですが、ボリュームが多くなってしまったので、2つに分けました。第1位が何か予想してみてください。おまけも付けて、明後日に公開します。SSSではない人にとっては気付きにくい点ではないかなと思います。どうぞお楽しみに~☆
(2021/6/30追記)次の記事、公開しました!
働き方改革事例集へのツッコミ その2
https://ayakon36.hatenablog.com/entry/case-studies-on-work-style-reform-part2
(2022/4/3追記)
令和4(2022)年2月に『改訂版』が発表されました!
改訂版 全国の学校における働き方改革事例集(令和4年2月)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/hatarakikata/mext_00001.html
私の感想はこの記事に書きました。
アイキャッチのイラストは『イラストAC』より