働き方をデザインする

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スクール・サポート・スタッフ(SSS)の立場から教職員の職場環境を変えたい人のブログ

教員の忙しさレベル(アンケート結果詳細2)

「印刷してくださってありがとうございます!助かりました!」

 

バタバタと職員室に入り、私にそう言った後、またバタバタと去っていった。「助かった」と言ってもらえたが、果たして、あの先生のどれぐらい役に立てたのだろうか。

 

教員の働き方はブラック企業さながら、そう言われるようになり、どうやら教員の数が足りなくなっているらしい。それではいけないと、働き方改革の一環として、私たち教員業務支援員(スクール・サポート・スタッフ、SSS)が全国的に採用されるようになった。

 

「教員業務支援員のおかげで帰るのが早くなりました」

「教員業務支援員が居ないことはもう考えられない」*1

 

そのように言う先生たちの声を資料の文面や動画で目にしたが、実際のところはどうなんだろうか。本当にそのように思ってもらえているのであれば嬉しいが、自分たちの施策を進めたい文部科学省の資料だから、話が盛られているんじゃないだろうかと私はひそかに思っている。

 

 

あの先生は早く帰れているのだろうか…。

 

 

「教員業務支援員が居ることで忙しさはどのように変化すると思いますか?10段階で答えてください」という奇妙なアンケートを取った人がいるらしい。その結果が次のグラフのようだ。

 

教員の忙しさレベルグラフ

回答者が19人と少なく、また、この19人もアヤコというやらの素人のアンケートに回答する物好きばかりなので信用度はいかがなものかと思うが、一応、グラフを見てみよう。*2

 

つまり、AさんはSSSの効果を高く評価している。一方で、

つまり、SさんはSSSが配置されることで忙しさが増えると否定的な回答をしている。コメントでも「とても心苦しいのですが、残念ながらSSSがいる方が忙しくなってしまっています」と言っている。

 

Aさん、Bさん、Cさんのように「SSSが居ることで忙しさが半分以上減る」と回答している人が居るので、「教員業務支援員のおかげで帰るのが早くなりました」というコメントは嘘ではないと言える。しかし、その一方でOさん、Pさん、Qさん、Rさん、Sさんのように「SSSが居ても居なくても忙しさは変わらない」「むしろ忙しさが増えてしまう」と思う人が居るのも事実だ

 

ところで、この『忙しさ』の感じ方は人によって様々なので、同じ状況でも10と評価する人もいれば7と評価する人もいる。また、どの程度の忙しさが『適切な』忙しさなのか、その辺りも曖昧だ。このような曖昧な指標を用いるはずはないとは分かっているが、働き方改革を進めている国としては、10段階のうち現在地がどこで、どうなることを目標にしているのだろうか

言葉で表現すると、「残業が無く、昼休憩が完全に取れる状態が常態化すること」が目標になっているのではないかと予想している。

 

しかし、朝から物が溜まる一方になっている隣の先生の机を見ると、ゆっくり座ってコーヒー休憩が取れるぐらいの余裕があってもって良いんじゃないかと思う。「せんせー、教室で紙飛行機飛ばしてる人がいる!」と呼ばれて行かなきゃならないシーンなんて会社勤めでは起こり得ない。子どもの相手をするのは大変なのだから、そのぐらいの余白があっても良いのではないだろうか。

 

コーヒーを飲む人のイラスト

 

…と、まあ、そのようなことを考えると先生たちには申し訳ない気もするが、私は今からコーヒー休憩を取らせてもらうことにする。

そう思ってコップに手を掛けて立ち上がったが、電話が鳴ってしまったので再び腰を下ろすことになった。インスタントコーヒーの粉だけを入れたコップに、まだお湯は入れられない。

 

*1

教員業務支援員を活用した働き方改革の取組事例

https://www.youtube.com/watch?v=ll9O15I2xq8

 

教員業務支援員との協働の手引き

https://www.mext.go.jp/content/20231222-mxt_zaimu-000033187_1.pdf

 

*2

回答者の19人は全てSSSではない方々です。奇妙な質問ばかりする素人のアンケートにご協力いただき、本当にありがとうございました。byアヤコ