働き方をデザインする

働き方をデザインする

スクール・サポート・スタッフ(SSS)の立場から教職員の職場環境を変えたい人のブログ

SSSの今後について(SSS以外の人の意見)(アンケート結果報告8-1)

現在の教員のほとんどの人は、多くの仕事を抱えすぎていて本来の仕事に注力できていない状態にあります。本来の仕事とは『児童生徒への指導』や『教材研究』などです。それ以外の仕事の負担を解消するために、私たちSSS(スクールサポートスタッフ、教員業務支援員)が雇われています。

今回と次回の記事では、アンケートの結果より、SSSの今後のあり方や教員の業務について考えていきます。まずは、SSSではない人たちの意見です。

アンケート概要 目次下

 

SSSの配置は教員の負担軽減になる

質問5 SSSを配置することで、教員の業務負担は軽減されると思いますか?

この質問には、87.1%の人がそう思うと回答しました。(※)

SSSが居ることで教員の負担が減ると、ほとんどの人が考えています。

 

(※)とても思う…41.9%、まあまあ思う…45.2%、あまり思わない…9.7%、全く思わない…0.0%、わからない…3.2%

 

教員が手放す業務

質問9 現在、教員が担っている業務のうち、SSSなどの教員以外の人に任せたい・任せるべきと思う業務は何ですか。

自由記述形式にしたので、たくさんの回答を得ました。(全回答は後述)その中でも私が特に気になったのは次の3つです。

 

私費会計

私費会計については数人の人が回答していました。また、Twitterなどでも度々「教員が行うのは大変だ」と意見が上がります。

私費』とは、『公費』ではない、個人(保護者)負担の費用のことです。(下図参照)

私費会計とは

引用:学校徴収金等取扱マニュアル(岡山県教育委員会),p2

https://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/682805_6572085_misc.pdf

 

私は全く関与していない業務なのであまり詳しくないのですが、修学旅行費、教材費、実験実習費など、学校での活動で必要な費用を担任の先生が回収・管理するのは想像しただけで大変です。実際に、「もうすぐ授業で使う物のお金を持ってこない子が居る」と嘆いていた担任の先生も居ました。
これは教員が手放すべき業務だと思います。そもそも、手続き自体が銀行振込などに変わり、学校内の誰の負担にもならなくなれば良いと思います。

文部科学省の資料でも、学校徴収金については『基本的には学校以外が担うべき業務』とされています。(下表参照)

文科省 学校以外が担うべき業務

引用:学校における働き方改革(中間まとめ)概要,p2

https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2018/01/26/1400723_02.pdf

 

掃除機をかける

あまり詳しくないと言った人の意見で「担任の先生が、教室で掃除機をかけるのを見て衝撃を受けました」というものがありました。私は、この意見の意味をよく考えるべきだと思いました。

自分たちの仕事場を自分たちで清掃することは一般的にありえることでしょうが、大人ではなく子どもが一日過ごした場所の掃除は大変です。しかも、教室の掃除は毎日必要ですし、たいていは掃除機ではなく『箒とちりとり』を使っています。もし、一般企業で、部長が毎日、床を箒で掃いていたら「暇なのかな?」と心配になると思います。しかし、学校では先生たちが掃除をすることにみんな慣れてしまっています。そして、床掃除だけでなく、エアコンの掃除、落とし物の管理、掃除道具等の管理なども行っています。その慣れている状態が本当におかしくないのかを振り返るときに、外部の人の意見は貴重だと思いました。

 

思いついていない

解決策として、全員の先生の全ての要望を一つずつ叶えたら良いかというと、そうではないと思います。ここには書いていない(まだ思いついていない、気付いていない)こともありますし、そもそも全く別の方法を取った方が良いこともあると思います。

「木を見て森を見ず」とならないように、教員の業務全体を見直す中でSSSの業務内容が考えられれば良いのではないでしょうか。

 

回答の全文はこちらからどうぞ。画像が表示されます↓↓

 

サムネイル

 

今後についての意見

質問13 このアンケートについてのご意見や、今後知りたいことなど、何かありましたらご記入ください。

SSS以外の人の意見

 

分業化

教員の業務を分けるという意見には大賛成です!そのためにも、様々な職種の人が学校に居るようになれば良いと思います。

現在、分業が進んでいない理由の一つが「学校に教員しか居ない」ことだと考えています。教員が「これは私の仕事なのか?違うのではないか?」と思っても、その仕事を代わりにする人が居なければ、結局、自分でやるしかなくなってしまいます。教員と同等の立場の職員を増やし、仕事を分散させていくべきではないでしょうか。

この話については、以前に記事に書きましたので、詳しくはこちらをどうぞ↓↓

学校に専門職員を配置しようよ!

 

PTAとSSSの連携

PTA…Parents and Teachers Associationということで、PTAは保護者と教員の組織です。しかし、先程の話のように『正規職員SSS』が増えれば、必ずしも教員がPTA役員と連絡を取り合い、PTA役員が決まらないときは教員が保護者に「役員になってもらえませんか?」とお願いの電話を掛けたりする必要もないのではないでしょうか。

正規職員SSSが、修学旅行のときの旅行会社とのやり取りや、プール掃除を外注した際の業者とのやり取りなど、PTAに限らず、学校と外とのやり取りをする(渉外を行う)役割を担う人になれば、教員の負担を減らせるのではないでしょうか。

また、保護者が先生には聞きにくいことを正規職員SSSに聞くなど、将来的には、先生と保護者の間の橋渡しの役割を担うことなども考えられるのではないでしょうか。

 

まとめ

教員の負担軽減のためにSSSが必要、ということには多くの人が気付いています。しかし、SSSが居るだけでは不十分で、どのような役割を担っていくのか、逆に教員はどのような業務を手放していくのかを今後継続して考え続ける必要があります。

 

 

今回のアンケートの回答者がどのような人かは、こちらの記事に書いています↓↓

アンケートに回答したのは誰か(結果報告1)

 

★アンケートについて、まとめて読むときは「第2回アンケート(2021年12月)」からどうぞ!★