働き方をデザインする

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スクール・サポート・スタッフ(SSS)の立場から教職員の職場環境を変えたい人のブログ

学校に専門職員を配置しようよ!

今、教師のバトンでは、教師の労働環境の改善を求める声が多く広まっています。私が提案したいのは『教師が行っている事務業務を専門に行う正規職員』を置くことです。教師は教育活動に専念し、その他の業務は、その専門職員が本業として受け持つことができます。

『#教師のバトン』とは何か

2021年3月末から4月中旬の現在まで、Twitterで『#教師のバトン』というものが話題になっています。「学校での働き方改革や新しい教育実践の事例、学校にまつわる日常のエピソードなどをシェアしよう」という目的で、文部科学省が公式で立ち上げました。前向きな投稿を求めるような企画でしたが、実際には、教師の労働環境の悪さを訴える不満の声が相次いでおり、『労働環境の改善』を求める声が多数上がっています。

 

『業務削減』『人を増やす』の両方が必要

労働環境の改善には、『業務削減』『人を増やす』の両方が必要でしょう。理想は、業務削減だけをして、人は増やさないことかもしれません。しかし、現在の業務の多さや、なかなか変われない今までの学校を考えると、人を増やすことも必要だと思います。

 

増やすのは、教師以外の人

そして、どのような人を増やすかというと、教師ではなく、教師以外の人を増やすのが重要だと考えています。

現在、教師の仕事が多くなってしまっている原因の一つに『教師の他に適任者がいない』ことがあるのではないでしょうか。「これは教師の仕事では無い」と考えたところで、結局は「他に人が居ないので教師が引き受けるしかない」という選択をせざるを得ない場面が多いように感じます。そのため、職員を増やし、仕事を振り分ける(分業する)必要があると思います。

 

例えば、『出席簿』。担任の先生が子どもの出欠状況とその理由を記録しています。書き方が細かく決まっているので、教務の先生がチェックし、間違っていた場合は担任の先生に返し、書き直してもらいます。これを専門職員に任せるというのが私の案です。

アメリカの学校では、まさに、出欠確認をするための事務員がいるそうです。*1 欠席の場合の保護者への連絡もその職員が行います。

 

専門『職員』(正規雇用)にこだわる理由

教育に携わらないのであれば教員免許不要なので、正規雇用の職員でなくても良いのでは?(簡単に言うと「誰でも良いのでは?」)と思われるかもしれませんが、私は正規雇用の職員にこだわります。

理由の一つは、教師の現在の業務量を考えると、パートタイム勤務の人や非常勤の人を少し雇う程度ではマンパワーが足りないからです。

そして、もう一つの理由は、権限が教師と同程度必要だからです。権限とは、教師と同じレベルで子どもの個人情報に触れられること、教師と同じレベルで決定権があることなどを指します。権限が無いと「任せられない・手間が掛かるので、結局自分(教師)でやるしかない」ということが起こってしまいます。

 

SSS視点からの追記

私は今、スクール・サポート・スタッフ(SSS)として働いています。SSSを配置することは『教師の仕事を分け、教師でなくてもできる仕事を他に任せる』分業の取組そのものです。しかし、「これじゃあ、全っ然足りない!!」と思っています。

例えば、私が働く市では、ほぼ全ての小中学校に一人ずつSSSが配置されていますが、全国的にみると、配置されていない学校の方が多いです。また、配置されている場合でも、一校にたった一人で、勤務時間はフルタイムではない場合がほとんどです。

『#教師のバトン』で多くの先生が求めている労働環境の改善とは、もっと根本的な、大幅な改善だと思います。私はSSSとしての現在の業務を頑張っていますし、先生方の負担軽減に一役買っていると思います。しかし、先生方が抱える負担はもっと大きなものなので、SSS個人の努力だけでは、『(全国の)教師の労働環境の改善』には足りないと主張します。

 

まとめ

教師の労働環境の改善のために、教師ではない『専門職員』を置くことを提案します。教師の仕事を『教育活動』と『それ以外の仕事』に分け、教育活動以外の仕事は専門職員に任せ、教師が教育活動に専念できるようにします。

現在の教師がしている膨大な仕事を受け持つには、ただ人数を増やすだけではなく、相応の立場の職員が必要だと言えます。

 

 

*1:生徒の出席を管理する事務員が4人いるー学校事務仕事内容(アメリカの真理先生)

http://americanteacher.blog.fc2.com/blog-entry-57.html