スクール・サポート・スタッフ(教員業務支援員、SSS)は、学校内で教員が行っている仕事の一部を手伝います。長い時間を職員室で過ごし、教員と積極的にコミュニケーションを取り、子どもたちからは「先生」と呼ばれることもあります。
そのようなSSSが日々触れている情報が、どれ程のものか想像できますか?また、SSSがどのような雇用条件で雇われているのかご存じですか?
SSSが知っている個人情報のレベル
SSSは職員室に居ることが多いので、教員同士の話を耳にすることがあります。また、保護者や関係機関からの電話を受けることもあるので、学校外からの情報を耳にすることもあります。私は小学校で勤めているのですが、小学生(特に低学年)は、結構気さくに話しかけてくれます。会話から家庭環境や親子関係が想像できることもあります。
アンケートの結果より
- 『学年・組・名前』以上の情報を知っているのはSSS全体の7割
- それよりも多くの情報を知っているのはSSS全体の4割
ということが分かりました。 *1
以前、ヤフーニュースにSSSの話が載ったことがありました。その時のコメントで、
「SSSのことを今まで知りませんでしたが、ちゃんとした人を雇っているのでしょうか?子どもを預けているので怖いです」
という内容のものがありました。
もちろん、SSSは面接等を経て採用されていますので無条件でなれる訳ではありません。また、地方公務員法が適用されるので『秘密を守る義務』があります。 *2
責任感を持って働いている人がほとんどですが、そのような人物を雇い入れるのに適切な雇用条件になっているのか、疑問を投げかけたいです。
SSSが気にしていること
雇用
SSSが、この時期一番気にしていることは「来年の雇用がどうなるか」です。既に決まっている人も居るようですが、みなさんに聞かなくても断言できるぐらいの、現在のこの時期の共通の考え事だと思います。
SSSだけでなく、『会計年度任用職員』の人は同じ思いではないでしょうか。(昨年のこの時期に書いた話 → SSSが直面している雇用の問題 )
前回(昨年度)のアンケートには、雇用に関する質問をいくつか入れたのですが、今回はあまり入れませんでした。しかし、自由回答欄に雇用について書いている人が何人か居ましたのでご紹介します。
給料
『雇用』ともう一つ、多くのSSSが気にしているのが『給料』のことです。残念ながら、SSSは稼げる仕事ではありません。給料については前回の記事に書いたので、そちらをご覧ください。 → みんなが気になる給料の話(アンケート結果報告6)
雇用手続きの不満
雇用に関する手続きについて不満を持つ人もいます。待遇についての不満と原因が違いますが、このような部分で扱いの悪さを感じることがある、というのはよく分かります。
SSSではない人の意見
「(アヤコは)当事者だから、雇用・給料などの待遇改善を言うのは当然じゃないの?」と思われる人も居るかもしれませんが、SSSではない人も、SSSの待遇改善に賛成してくれています。
この質問に対しては、96.7%の人が賛成と回答しました。 *3
質問文に書いたように、SSSは今後より一層、学校内で重要な役割になっていくと思っています。そのためにも、待遇を良くして優秀な人材がたくさん応募するような職種になるようにすべきだと考えています。
主張
SSSの取り扱う情報レベルと待遇
SSSは学校内で子どもの情報に触れる機会が多くあります。ときには学校外の情報を耳にすることもあります。そのような人物が雇用される条件として、現在の『非正規雇用』『低賃金』という待遇は適切と言えるでしょうか?
また、SSSの今後の可能性を考え、当事者だけではなく周囲の人々もSSSの待遇改善に賛成しています。
会計年度任用職員について
今回の話(取り扱う情報レベル、雇用、給料)は、SSSだけでなく会計年度任用職員(いわゆる非正規公務員)全体に当てはまる話ではないでしょうか。人を1年ごとに雇い入れるのは、予算の面などで合理的な方法とも言えますが、
- 優秀な人を安定的に雇い入れられない
- 人(組織)が育たない
- 働く人の雇用や給料が保障されない
などの面で問題があると思います。
SSSの待遇改善はもちろん、会計年度任用職員の待遇改善にも目を向けたいと思いました。というよりも、
「SSSの待遇改善をしようと思ったら、会計年度任用職員の制度を変えないといけないのではないか」
と気付きました。この問題には今後も継続して考えていきます。
*1 質問項目についての補足
「情報レベルの5と4って差が無いのでは?(どちらも同じぐらいのレベルではないか?)」という意見を頂いたのですが、この『レベル』は、次のイメージで設定しました。
*2 地方公務員法第34条「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。」より。
ちなみに、第31条に「職員は、条例の定めるところにより、服務の宣誓をしなければならない。」とあることから、年度初めに「服務宣誓書」を提出しています。
*3 『賛成96.7%』の内訳
とても賛成…67.7%
すこし賛成…29.0%
どちらともいえない…3.3%
とても反対・少し反対・わからない…各0.0%
★アンケートについて、まとめて読むときは「第2回アンケート(2021年12月)」からどうぞ!★
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