働き方をデザインする

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スクール・サポート・スタッフ(SSS)の立場から教職員の職場環境を変えたい人のブログ

情報はパソコン内に置いておいて!

前回の記事は、SSS(スクール・サポート・スタッフ、教員業務支援員)にも専用のパソコンが必要だという話でした。今回は、パソコンと関連して、もう一つ重要な『情報共有』の必要性についての話です。

前回の話→SSSには「あれ」が必要です

情報共有はなぜ必要?

現在、学校で働く人の8割は教員で、教員以外の職種の人は全体の2割と言われています。*1  しかし、今後は教員以外の職種も増えていき、多様な職種の人が集まって学校を運営するようになると思います。その分、非常勤やパートタイム勤務など、働き方も多様になります。

また、常勤・フルタイム勤務の教員の中にも、子育てや介護などの事情により、毎日『フルタイム(+残業)』で働ける人ばかりではなくなってきています。

そのため、現在の情報共有の方法として主流なのは『口頭』と『紙』で伝える方法ですが、これを『パソコン』を使って伝える方法に変えていくべきだと思います。

 

情報量に差のあるAさんとBさん

ここで、それぞれ別の学校で働くSSSのAさんとBさんの話から考えてみましょう。

 

Aさん

出勤して机の上に目を向けると、いつも通りすっきりとしている。

机の上が『すっきり』しているのは綺麗に片付けているからだけでなく、私の机の上にはパソコンが無いからだ。隣の先生の机はパソコンの他、回覧板が2~3個重なって積まれている。一番上の回覧板の文字が少しだけ見えた。「インフルエンザ等流行の時期のため…」続きには何が書かれているのだろうか。私には回覧板は回ってこないだろうから、きっと知らなくても良い情報なのだろう。

 

さて、今日の午前中は『全校マラソン大会』が行われていて、子どもたちは学校の外を走ることになっている。職員室内に教職員がほとんど居ないのを見ると、多くの先生が引率に行っているようだ。そういえば、以前、保護者から「走るルートは手紙などで知らせてもらえるのか」と問い合わせがあったが、あれはどうなったのだろうか。子どもたちはどのようなルートを通るのだろう。

 

そのようなことを考えていると電話が掛かってきた。

「校長先生はいらっしゃいますか?」

校長室を覗きに行くと校長先生は居なかった。どこに居るのだろうか。事務職員さんが居たので聞いてみると、「校長先生は出張に出ていて14時頃に戻る」と教えてもらったので、それを電話の相手に伝えた。

 

教頭先生はマラソン大会の引率で出ているらしく、終わったら戻ってくるそうだ。マラソン大会は何時に終わる予定なのだろうか。午前中には終わると思うのだが…。

 

Bさん

今日の午前中は『全校マラソン大会』だった。子どもたちは帰ってきてからも元気いっぱいの様子だ。

職員室内で「M先生はまだマラソン大会から戻ってきていないのかな?」という話になったので、パソコンでスケジュールを確認した。「出張に直行、16時頃戻り予定」と書いてあったので、みんなで共有した。

 

ラソン大会は無事に終わったようで良かった。1年生のSさんが最近登校できないことが増えていて、今日も参加できるのか分からないと以前から言われてたのが気になっていた。もし、Sさんが学校に来て走りたくないと言った場合の対策が、昨日の夕方に掲示板に書き込まれていたので、今日の出勤後に読んで確認していた。Sさんは少し遅れて参加できたので、先生たちはみんな喜んでいた。

 

そのようなことを考えていると電話が掛かってきた。

「教頭先生はいらっしゃいますか?」

言われてみれば、さっきまで席に居たのに居ない。スケジュールを見ると、授業を見に行く予定も出張の予定も入っていなかったので、少し席を外しているだけだと相手に伝えた。

 

今日の夕方は会議室で先生たちの会議があるから、その前に軽く掃除しておこうかな。会議にはほとんどの先生が参加するから、私はその時間は職員室内で作業をすることにしよう。

 

情報共有する方法はパソコン

情報共有の方法としては、パソコン内に情報を残して誰もが読める状態にしておき、各人が「必要な時に必要な情報を読める」ようになればいいと思います。

 

情報『共有』と言いますが、

その情報、そこ(パソコン内)に置いておいて!必要になったら取りに行くから!」

というイメージです。

 

イラスト パソコンのネットワークを利用する女性

 

先程のBさんの例では、Bさんや職員室内にいた先生たちは、M先生の出張のことを直接聞いていなかったので知りませんでしたが、M先生がトラブルで戻ってきていないのではないかという心配をせずに済みました。また、Bさんには、自分が参加しない会議の予定を見て会議室を掃除するという自主的な行動が生まれました。

 

多様な人々が働く組織において、どの情報が誰の役に立つか、誰が活用できるかは分からないのです。置いてあれば使える人が取りに来ます。

前回、「SSSにパソコンが必要だ」と主張したのには、このような理由もありました。

 

AさんとBさんの話は架空の話ですが、実際に起こりえる話だったのではないでしょうか。ご意見やご感想などあればコメントをお願いします!

 

*1

中審教「資料3-4 チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(答申(案))参考資料」p.12

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2015/12/28/1365606_3_4.pdf