働き方をデザインする

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スクール・サポート・スタッフ(SSS)の立場から教職員の職場環境を変えたい人のブログ

学校の活動をサポートする人材の募集について(第2次補正予算関連)

コロナの影響で教員の業務が今まで以上に増えることが予想されており、現在居る教員の多忙化を防ぐために国は様々な人手を募集しています。

「加配教員」「学習指導員」「スクール・サポート・スタッフ(SSS)」と呼ばれる人たちが配置されるための予算も組まれました。

 

前回の記事では、その中でも特に、スクール・サポート・スタッフが「一校に一人」配置される可能性について述べました。 

 

しかし、あくまでも予算面での話なので、今回は、人員面について考えてみたいと思います。

 

 

学校・子供応援サポーター人材バンクについて

「スクール・サポート・スタッフ」だけでなく、「加配教員」「学習指導員」あわせて84,900人を確保するために、文部科学省は「学校・子供応援サポーター人材バンク」を開設しました。

人材バンクの登録フォームには、連絡先などの他、希望する勤務地を入力する欄があり、登録後はその自治体から連絡が来るそうです。

 

自治体にとっては、独自の応募フォームや採用ページなどを作らなくても協力してくれそうな人の連絡先が分かるので、ある程度は便利なのかなと思いますが、業務の内容や時間帯などの個別の交渉が必要になるので、ある程度の手間は掛かってしまうだろうと思います。

 

文部科学省の想定している人材

ここで、文部科学省が想定している人材とその活動内容について、下記にまとめてみました。

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「教員免許が必要」という文言は資料には載っていませんが、業務内容を考えると加配教員のみ教員免許が必要と思われるので記載しました。

TT(チームティーチング)は、メインの教員が教員免許保持者であれば、補助教員は教員免許が無くてもできるそうです。

 

コロナの影響で教育実習が行いにくくなっていることから、この学習指導員としての活動が教育実習の単位にできる措置ができました。そのため、教育実習生の参加も大いに期待されているのかなと思います。

 

とはいえ、多くの人は思うでしょう。

人材バンクにはどれぐらいの人が登録しているの?

 人が集まらなかったら予算も意味ないよね?」

 

 

予算追加が決定(二次補正予算閣議決定)された後の5月29日に

萩生田文部科学大臣が会見を行っており、そこでの質疑応答にもありました。

 

記者「マンパワーの確保について。人材バンクの登録者は5000人しかおらず地域によってバラツキがあると聞きます。予算が確保されても人材が集まらなければ学校は困った状態になると思いますが、どのように解決するのでしょうか」(要約)

 

大臣「登録は現在6000名を超えた。改めて大学や退職教員、PTA関係団体等に対して周知のお願いをした。加配教員や、あるいは元々、非常勤でスクール・サポートをされているいわゆる周辺人材というのは、各自治体があらかじめ承知をしていて押さえている。(だから6000人だけではない)」(要約)

   

ここで、私を含む多くの人は思うでしょう。

「周辺人材がどれぐらい居るか知らんけど、あわせても8万人以上も無理じゃない?」

 

 

人が集まりにくい理由とその解決策等

人が集まりにくい理由はいくつかあると思いますが、

おおよそ次のような理由ではないかと考えました。

 

① どのような業務があるのか想像しにくい

② 勤務条件によっては働いても良いと思うけど、条件がよく分からない

③ そもそも人材バンクの存在を知らない

④ 仕事や学業やアルバイトをしているので忙しい

⑤ 現職が兼業(副業)禁止なので出来ない

⑥ 報酬が低い

 

どれも、誰もが考えうる理由かなと思いますが、

自分自身の経験から言うと、④が割と大きな理由になるのかなと思います。

 

みんな自分自身の仕事等で結構忙しいですよね。

大学生のときは授業+アルバイトで忙しかったですし、

会社員(フルタイム勤務)のときはだったら週40時間+残業でヘトヘトでした。

 

補習の補助と言っても「平日は仕事だし、せっかくの休みの土曜日に…お出掛けしたい日もあるし…」なんて考えるのではないでしょうか。(私が考えていました。)

 

それでも、「ちょっとであれば手伝ってもいいかな」と思う人も居ると思うので、

自治体(募集側)が仕事内容や時間等をハッキリ提示することは重要だと思います。

(①・②の解決策にもなる)

 

 

また、私だからこそ考えたことを言いたいのですが、

スクール・サポート・スタッフの仕事は、子どもと関わることが苦手でもできる仕事

であることが大きな特徴だと思います。

 

 

学習指導員は、教員の補助とはいえ、「子どもに教える」行為が必ず発生します。

子どもと関わること、人に教えることに抵抗がある人にはしんどい業務だと思います。

 

しかし、スクール・サポート・スタッフの仕事は教員(大人)をサポートする役割なので、

「学校の手伝いはしたいけど、子どもに教えるのは難しそうで嫌だ」

という人にはピッタリだと思います。

 

もちろん、「教員のサポートもしたいし子どもにも教えたい」という人には

両方の仕事が回ってくるので安心してください(?)

スクール・サポート・スタッフの仕事って幅広いので。(経験談

 

 

また、③に関して、募集の周知については、文科省が大学に通知をしているので、大学から大学生には伝わっているとは思いますが、想定人材に「地域の方々」も挙げるのであれば、地域への周知をもっと強化した方が良いのではないかと思います。

 

私の想像ですが、地域の一般の人にお願いするのであれば

スクール・サポート・スタッフの方がお願いしやすい気がします。

勤務時間帯についても、学習指導員より柔軟に調整できると思います。

 

まとめ

コロナの影響で教員の業務の多忙化が予想されており、人手を募集している。

(「加配教員」「学習指導員」「スクール・サポート・スタッフ」など)

多様な人材を集めるために「学校・子供応援サポーター人材バンク」が開設された。

8万人以上を募集しているが、人材バンクへの応募数は6000人程度に留まっている。

 

応募者が伸びない理由としては、人々の日常生活の多忙化などが考えられるが、

募集条件や業務内容をハッキリと提示することで

サポートに協力できる人を逃さずにいられるのではないかと考える。

特に、スクール・サポート・スタッフの業務は

一般の人が協力しやすい業務なのではないかと考えている。

 

 

<参考>

学校・子供応援サポーター人材バンクの開設について

https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/mext_00012.html

令和2年度文部科学省第2次補正予算(案)事業別資料集

https://www.mext.go.jp/content/20200527-mxt_kaikesou01-100014477-000-2.pdf

教育実習 3分の1まで大学の授業で代替

https://www.kyobun.co.jp/news/20200501_05/

令和2年度における教育実習の実施期間の弾力化について

https://www.mext.go.jp/content/20200501-mxt_kouhou01-000004520_1.pdf

萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年5月29日)

https://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/mext_00065.html