働き方をデザインする

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スクール・サポート・スタッフ(SSS)の立場から教職員の職場環境を変えたい人のブログ

SSSが「一校に一人」配置される可能性が出てきた

5月27日付で文部科学省の「令和2年度 補正予算(第2号)」が閣議決定されました。コロナにより当初の予算から補正(予算追加)されたということですね。

現在、私はスクール・サポート・スタッフ(SSS)として働いているので、SSSに対する予算と人員がどのように想定されてきているかを中心に見ていきたいと思います。

  

令和2年度の当初予算、第1次補正予算、第2次補正予算について

第1次補正予算では、未指導分の補習等を行うための「学習指導員」の配置に必要な経費として8億円が計上されました。

第2次補正予算では、「学習指導員」の更なる配置の他、「加配教員」と「スクール・サポート・スタッフ」も配置するための予算310億円が計上されました。

 

R2年度の予算の推移(スクール・サポート・スタッフ)

 表は文部科学省資料より筆者作成

 

スクール・サポート・スタッフの予算について

今回の第2次補正予算において、スクール・サポート・スタッフ(SSS)の予算については、当初予算の2倍もの予算が組まれています。予算化されたのが2年前からであり、年々予算は増えてきていたものの、これほどの増加量ではなかったので、この金額は正直驚きました。現場の先生方の負担を増やさないことを重要視しているのだなと個人的には感じました。

 

スクール・サポート・スタッフに関する予算の3年間の推移

平成30年度

平成31年

令和元年度

令和2年度

12億円【新設】

(3,000人)

14億円

(3,600人)

19億円

(4,600人)

 

増加させる想定人数が「20,600人」と中途半端な数であるのは、

(全国の公立小中学校数)-(既にSSSが居る学校の数)=(SSS未配置の学校数)

という計算をしているためです。この予算はあくまでも、SSSが居ない学校に対して配置費用を補助する、というものなのです。

 また、「SSSは一校につき一人」というのが私の肌感覚としては感じていたのですが、

この予算から、文部科学省としてもその想定であることが分かりました。

 

R2年度第2次補正予算(スクール・サポート・スタッフ)

引用:令和2年度文部科学省第2次補正予算 事業別資料集、p16

https://www.mext.go.jp/content/20200527-mxt_kaikesou01-100014477-000-2.pdf


図の中に「補助割合 国 1/3 都道府県・政令指定都市 2/3」という表記があります。これは、毎年の当初予算のとおりで、SSSの費用の3分の1は国が負担するが、残りは全て都道府県や政令指定都市が支払うことになっています。

今回については、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」というものを利用できるそうで、自治体の負担は減らせるようですが、交付金の交付限度額が決まっており、他のことに交付金を使うのであれば、全額を負担しないという訳にはいかないのではないかと思います。(「地方負担なし」と記載しているニュース記事もありましたが、私が調べた限り、そこまで言及した文章はありませんでした。)

 

とにかく、文部科学省が「一校あたり一人のSSS配置」を想定していることが分かりました!

  

考察1 この予算で足りるのか?

今回の補正予算でかなりの増額がされたと書きましたが、それでも「人数は4~5倍増、予算は2倍増」の想定になっています。

 

おそらく、追加されるSSSの場合、現在のSSSよりも

・労働期間が短く想定されている(12ヶ月でなく6ヶ月など?)

・労働時間が短く想定されている(週20時間でなく週10時間など?)

ことが要因だと思います。

 「未配置校が配置するための費用」と指定されていることからも、あくまでもコロナで仕事量が増えてしまった分を保障する、という考えなのかなと思いました。

 

しかし、それでも指摘したいのは、現在のSSSに掛かる費用は想定より増加しており、それは保障の対象になっていないのではないか、という点です。

 

前回の記事に書いたとおり、臨時休校期間も仕事をしているので4月から給料は支払われ続けています。また、私の地域の場合、長期休暇期間は勤務しないことになっていましたが、その期間は短縮されています。

当初予算にも補正予算にも無い費用が増えることになるので、自治体によっては現在のSSSの勤務日の削減がありえるのかもしれません。(児童生徒は登校するけど支払う給料が無いので出勤しないでね、みたいな。)

私としては、長期期間中も(全日とは言わないものの)数日は出勤した方が先生方の業務軽減になるのではないかと考えていたぐらいなので、登校日に出勤しないことが起これば、先生方の負担は増えてしまうのではないかと思います。

 

次回予告

人員の確保に関してなど、他にも考えたことがあるのですが、長くなってしまうので今回の記事はここまでにします。「学校・子供応援サポーター人材バンク」の話とからめて次回の記事に書きます。(これから記事作成するので数日後に公開になると思います)

 

また、この記事を作成するにあたり、以前に書いた予算の金額が間違っていたことに気付いたのでその修正も後日…。→2020/6/3更新しました。この記事です。

スクール・サポート・スタッフとは何か③ ~いつから居るの?国の予算から見てみた~

 

<参考>

・令和2年度予算(文部科学省

https://www.mext.go.jp/a_menu/yosan/r01/1420672.htm

・緊急経済対策による取組(文部科学省

https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/mext_00014.html

文部科学省緊急対策パッケージ(第2弾)を参考にしました。

新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金 ~脱コロナに向けた協生支援金~

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/rinjikoufukin/index.html