働き方をデザインする

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スクール・サポート・スタッフ(SSS)の立場から教職員の職場環境を変えたい人のブログ

スクール・サポート・スタッフとは何か③ ~いつから居るの?国の予算から見てみた~

スクール・サポート・スタッフ(SSS)って初めて聞いたという人も多いのではないでしょうか。現在SSSとして働いている私も、この仕事を見つけてから「そんな仕事あったんだ」と思ったぐらいです。

私が知らなかっただけで何年も前から居たのか。それとも最近できた仕事なのか。調べてみました!!

  

SSSの予算の推移

SSSの予算は基本的には市町村から出されています。しかし、SSSの導入で先生方の残業時間が減ったという結果も出ているので、国も費用の3分の1を補助することになりました。それが2年前の平成30(2018)年度からです。

 SSSだけでなく部活動指導員などの「補習等のための指導員等派遣事業」に掛ける金額は年々増えています。

 

「補習等のための指導員等派遣事業」予算の直近3年間の推移

SSSの予算の推移
 表は、文部科学省資料より筆者作成

 

SSSと部活動指導員の予算は、平成30年度に新設され、年々予算が増加していることを踏まえると、ここ数年で急速に需要が増えているのかなと思います。 

しかし、全国に公立小中学校は約27,000校あるらしいので、(僻地の学校などそもそも必要としていない学校を除いても)1校に1人も配置できないぐらいの補助しか出ていないのが現状でしょうか。。

令和2年度予算案 スクールサポートスタッフ

引用:令和2年度予算(案)ポイント【文部科学省

https://www.mext.go.jp/content/20191220-mxt_kaikesou01-100014477_01.pdf

 

そして、予算を見ていて気になったことがあります。

①各自治体において明確な成果目標を設定し、効果の検証を含めて実施するものに対し、補助を行う。

②会計年度任用職員への移行に伴う「期末手当」を支援

という注意事項が記載されていることです。

  

①の「明確な成果目標」と「効果の検証」って何?と最初は思ったのですが、おそらくこういうことだと思います。

  

 教員の勤務時間の把握

「令和元年度 教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査」によると、

教員の勤務時間を「ICカード、タイムカード、パソコンの使用時間の記録等による客観的な方法で把握している」割合は66.0%だそうです。

在校時間の把握方法(文科省資料)

引用:令和元年度 教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査【結果概要】令和元年12月(文部科学省

https://www.mext.go.jp/content/20200227-mext_zaimu-000002858_1.pdf

 

この低さと「前年度38.3%」という表記に2度驚くのですが(!)、教員は長年、

「教員って特殊な仕事だから残業って概念無いよね。残業代も一律で払うね。」

「残業代の計算しないし、労働時間・残業時間は誰も把握してないよ」

という状況が続いていました。

 

しかし近年、長時間労働が問題になってきたことから、まず労働時間を把握しようという動きになってきているのですが…まだ途中のようです。長時間労働をなくすためにSSSの導入が求められているのですが、「そもそも労働時間を把握していないので、SSSの導入によってどれだけ労働時間が短縮されたのか、されていないのかが分からない」という問題が起こりかねないので、①のような注意書きがあるのかなと推測します。

  

そして注意書き②は、SSSにとっては朗報なのですが、今年度から法律改正により「会計年度任用職員」という雇用形態に変わり、期末手当(ボーナス)が支給されることになりました。その費用を国も補助するよ、ということです。

 

しかし、自治体(市町村)にとっては、期末手当の3分の2を払わないといけなくなったので負担が増えたことでしょう。また、どうやら交通費は補助の対象ではないようで、そこも苦しいところではないでしょうか。

 

※会計年度任用職員とは何か、については詳しく書いてあるサイトが他にあるのでそちらをご覧ください。私は下記のサイトを見て「あっこれで説明十分だから書かなくていいや」と思いました。

 

会計年度任用職員とは?わかりやすく解説!【デメリットは?】
https://botti-neet-sikaku.com/archives/1449

 

まとめ

SSSへの補助金が出始めたのは平成30年度(2年前)からです。その予算は年々増加しており、待遇も改善傾向にあります。

しかし、国からの補助金は3分の1しか出ないので、殆どの費用は市町村が支出しており、費用の問題もあり、SSSを導入している学校はまだまだ少ないです。

効果検証の面でも問題があり、そもそもの教員の労働時間の把握もまだ完全にはできていないという状況があります。

 

【一連の記事 】

スクール・サポート・スタッフとは何か① ~学校を動かす先生以外の人たち~ 

スクール・サポート・スタッフとは何か② ~私の仕事内容~

 

【概算要求・予算の話はずっと追いかけています】

2020年度の補正予算の話↓↓

学校の活動をサポートする人材の募集について(第2次補正予算関連)

 

2022年度の概算要求の話↓↓

来年度の概算要求(教員業務支援員)の資料を読んでみた

 

※2020/6/3 修正報告

本文中、令和2年度の「予算」を載せるところを「概算要求」の金額を記載してしまっていたので、当該の文章・表・図(文部科学省の資料の抜粋)・参考資料URLを差し替えました。

また、学校教育活動支援のところにSSWも含まれると記載していましたが、SSWはこのカテゴリーには含まれていないことが分かったので当該の表記は削除しました。

2021/4/3 「サポートスタッフ」という表現を「SSS」に統一しました。文章の体裁を整えました。 

2022/3/28 関連記事のリンクを追加しました